「Googleは消える」という記事のタイトルはまったくの釣りだが、内容はというと釣りとは言い切れない。しばらく前から、「Googleは巨大な広告代理店だ」とところどころで書いてきた。もちろん、単なる広告代理店じゃなくて、非常に高度なテクノロジーをバックボーンとして持っている。しかし、それ以上ではない(少なくとも、今のところは)。この記事で言われているように、自ら情報を編集する(マス)メディアではない。だから、YouTubeの活用と言えば、どうやって広告を貼るかが主な議題になっており、たとえばNHKアーカイブみたいな歴史上重要な映像の資料集を作って、月額3150円で見放題のコースを作ろうとは思わない。アルジャジーラみたいな放送局を作って、政府から圧力を受けないネット上の巨大マスメディアとなる道を選んだりはしない。できるけど、やらない。
広告がなくなることはないし、ゆえに広告を掲載するための媒体がなくなることもない。つまり、Googleの検索エンジンが広告主から必要とされなくなることはあり得ないし、検索連動型広告はこれからもどんどん伸びていくだろう。しかし、広告主が「もうちょっと大がかりな広告を打ち出したい」と思ったら、彼らはGoogleではなく、電通に相談するだろう。これは、今後もずっと変わらない。そして、そこがGoogleの限界だ。世界は少し変わったけれど、完全に変わったわけではないし、変わってしまうわけでもない。
また、Googleの検索エンジンの精度は素晴らしいが、しかし大したことはない。うまくキーワードを組み合わせたときには、いいものを拾ってくる。しかし、キーワードによってはスパムブログばかりヒットすることもまれではない。ワードサラダを拾ってくるようでは、「精度が高い」などと私は言いたくない。いや、他の検索エンジンに比べれば、ずっと精度は高いのかもしれないが、「これで満足」というレベルではない。
Gmailをはじめ、Googleグループ、Googleノートブック、Googleドキュメントなど、素晴らしく有用なサービスはたくさんあるし、Googleが体現しているクラウド・コンピューティングには期待したいが、実はGoogleにも死角はたくさんある。Google万歳を言い飽きたら、弱点につけ込むことも考えてみるといいだろう。
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