Monday, September 22, 2008

Googleストリートビュー問題と高木浩光氏の記事について

高木浩光氏が例のGoogleストリートビュー撮影者女子校不法侵入(?)問題について、アスキー・メディアワークスの記者にかみついている
アスキーはなぜ当事者のコメントをとらずに記事を書くのか。それどころか、ここで取材で聞くべきことは「削除理由について」ではなく、「これは不法侵入ではないのか」「なぜ起きたのか」「撮影作業員にはどんな指示を出しているのか」「再発防止策はどうなっているのか」だ。アスキーの記者はなぜそれを聞き出さないのか。答えてもらえなかったのならそう書けばいい。それ自体がニュースじゃないか。日本のネットメディアの取材力の無さにはいいかげん吐き気がする。削除件数が何件になったかの基本事項さえいまだどのメディアも聞き出していない。毎週月曜には顔を合わせているくせに。
仰ることはよくわかる。まったくその通りだ。しかし、記事の掲載元が「ASCII.jp」だということで大目に見て欲しい。なぜか。ASCII.jpは新聞社のサイトではない。企業の反社会的行為を追及する場ではない。反社会的行為を行う企業があれば、せいぜいどんなリリースを出してもスルーするか、注意を喚起する記事を掲載するくらいで、それ以上のことはやらないし、できない。Googleは外資だし、企業の規模が非常に大きいので、多少叩いても嫌がらせをしてくる可能性はない。だから、多少の批判記事は書ける。しかし、ASCII.jpでできるのはそこまでだ。Googleがいかに反社会的なサービスを公開しようと、法人にあるまじき対応をしようとも、Googleに関する記事を掲載しないわけにはいかない。そして、ASCII.jpにGoogleストリートビューの問題点を根掘り葉掘り取材しろというのは、「週刊大衆」にMIAU vs. 権利者の特集を組めというのと似ている(週刊大衆はよく知らないけど)。期待する媒体が違うのだ。

高木氏が怒るべきはネットメディアではなく、新聞社だろう。ネットを敵視している毎日新聞あたり適任ではないか? Googleストリートビューのプライバシー問題については、ここまでいろいろ取り上げられているのだから、Google本社に凸して、まともな答えが出てくるまで粘る新聞記者が出てきてもいいはずではないか。本当にGoogleの態度を問題にしたいなら、佐々木さんをつついて毎日新聞のルートを探ってみた方がいい(もうすでに動いていたら申し訳ない)。

あと、小橋川誠己さんはどうやらデジタル系ライター(編集者かもしれない)みたいだ。アスキー・メディアワークスの社員ではないのかもしれない。いずれにせよ、彼らは喧嘩するのに慣れていない(もちろん、私も)。批判対象に取材してけんか腰でコメントを取るなんてできない。

とはいえ、高木氏の以下のくだりには賛成だ。
いずれにせよ、グーグル株式会社はこの事例をメディアに尋ねられたなら「これは不慮の事故であり意図して侵入したものではない」といった弁明を示してしかるべきだろう。なぜそれすらしないのか。嘘でも「事故が生じた原因を調査中だ」とか「これからは改善する」といった釈明をするのが普通だ。グーグル株式会社は法人の体をなしていないのではないか。刑事告訴されるまで再発防止策を打ち出さないつもりか。
総務省はそろそろネット企業への指導に本腰を入れるべきだ。本当は法律を作るのがいいのだけど、そんなの待っていたら、いつになるかわからない。審議する議員がお年寄りばかりだし、しばらくは無理だろう。Googleは利用者の批判的意見には鈍感だが、政府には弱いから、総務省に期待せざるを得ない。そうでもしないと、Googleのふざけた対応は決して改まることはないだろう。

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