Sunday, November 16, 2008

知力も総量は同じ

社会全体で見たとき、たとえば日本人はここ10年とか100年とか1000年とかのスパンで前よりも愚かになったり、あるいは賢くなったりはしていないと、前々から思っている。もちろん、戦争をやっていた時期は文化が低迷し、後から見れば暗黒時代になるのは仕方ないにしても、ちょっと社会が落ち着けば、それなりの状態になっていく。

他に同じようなことを言う人をあまり見かけなかったのだが、どうやらそれは私の不見識だったようだ。内田せんせのブログから。
「世代の知性の総量というのは変わらない。それが向かう先が変わるだけである」(@村上春樹)という考えに私も同意する。
今の子どもが20年前の子どもと比べて学力が劣るとしたら、それは別のところに力を振り向けているからである。パソコンやケータイといった情報機器を使いこなす力は、それらがなかった20年前と比べたら格段にアップしている。社会は単純化するところと、複雑化するところと、両面があって奇妙な形でバランスが取れているはず。そう考えることで、「これからの日本はどんどんダメになる」などの非生産的悲観論ではなく、「これからの日本はどこに注力すべきか」といった生産的議論が可能になる。

さて、内田せんせが書いているように、学力低下の真の原因はここにある。
子どもたちの学力が低下した理由は「この世でたいせつなものは『学力そのもの』ではなく、『学力をもつことでもたらされる利益』である」という考え方が支配的になったからである。学力なんかあってもなくてもどうでもよろしい。学力があることによって得られるとされている利益(競争における相対優位、威信、権力、財貨、情報、などなど)が得られるなら「何をしてもよい」というのが私たちの時代の風儀である。
「うまくやること」のみがもてはやされる現代である。誰かのミスにつけ込んで数時間で数百億円を稼げば、それが見習うべきものとして評価される現代である。自分が寝ている間にも小銭を稼いでくれるアフィリエイトのようなシステムを手に入れた人を、多くの人が羨望と尊敬の目で見るような現代である。学力とか教養とか、もたらされる利益がはっきりせず、しかも尺度さえはっきりしないものを求める子どもが少なくなったからといって、何も変ではない。

ただ、こういう現状に対して、私自身は悲観していない。「日本がどんどんダメになっていきつつある」などというディスクールはダメな評論の最たるものだ。これまでも、日本のどこかがダメで、どこかがよかった。これからも、どこかがダメで、どこかがよい社会であり続けるだろう。きっと、マクロ的に良い悪いを論じることは無意味で、悪い何かを少し良くすること、今の「悪」を減らすこと(新たな「悪」が出てくるにせよ)が重要なのだろう。そして、一番重要なのが、どのように良いことと悪いことが移り変わってきたのか、それを知っておき、それに従って現状を分析できることではないか。これがつまり歴史である。昔は、歴史の価値をまったく認めることができなかった愚かな私だが、「歴史が重要である」という結論に帰着せずに、このあたりの議論を深めることはできない。

Wednesday, November 12, 2008

水村美苗、英語、はてな

水村美苗「日本語が亡びるとき」を梅田望夫氏が紹介した記事について侃々諤々の議論が持ち上がっている。梅田望夫氏の元記事、はてブの釣られ具合、増田による元記事の解説、梅田望夫氏が切れた、とか。一連の議論は、梅田望夫氏らによる壮大な釣りであれば、この流れはとてもよくわかるのだが。そうでなくて、梅田望夫氏が本気でこんな切れ方をしているのなら、ちょっといかがなものかと。
はてぶのコメントには、バカなものが本当に多すぎる。本を紹介しているだけのエントリーに対して、どうして対象となっている本を読まずに、批判コメントや自分の意見を書く気が起きるのだろう。そこがまったく理解不明だ。
漫才を見に来ている客に対して、漫才師が「俺ら、そんなにおもろないのに、お前ら、よう笑うなあ」とあきれる態度と同じ。梅田望夫氏は、ネットについては、とてもいい話をする人だと思っているが、残念ながら何についても見識が深いとは言えない。そういうこと。

さて、水村本のあらすじを増田の解説で想像する限り、感傷的な煽りが主題なのかなと思える。ただし、その気持ちはわかるような気がする。
日本という「現地」に帰属しつつ他方で「普遍的なもの」とつながっているという点では「外国人」のような存在、すなわち、「在地の普遍人」というでもいうべきメンタリティーを有している人間にとっては、今回の水村さんの本を読んで刺激を受けるのだろうな、ということだ。
増田のこのコメントは、よくわかる。しかし、「在地の普遍人」って単に教養人と言い換えてもよくないか。外国語、しかも自分の母国語からできるだけ離れた文化で、「国語」として必須のものが備わっている外国語を長い間学んできた人間にとっては、自分の言語や文化を普遍的なものとの比較対照において相対化する、という態度は持っていて当然のものであり、格別にどうこう言われるものではない。

とか何とか考えていたら、増田もちゃんと書いてるな。
「現地語」のみを読み「現地語」のみで語る、他のものには触れないし読まない。そうなると、文学が、そして、それによって表現される知性が、衰退する、という反応が出てくるのではないか。
ま、早い話が「日本語しか知らない人は知的でありようがない」ということ。できるだけ日本語、日本文化とは異なる言語や文化に触れることは、知的であるためには必須。英語じゃなくてもいいけど、中国語や韓国語はNG。中国語は日本に近すぎるし、韓国語は「国語」としての力が弱すぎる。フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語あたりなら何でもいいな。アラビア語、ロシア語とかも悪くない。なんだ、大学の第二外国語か。

水村ご本人のインタビュー
「中途半端な国民総バイリンガル化を求めるより、少数精鋭の二重言語者を育て、翻訳出版の伝統を維持する。作文を書かせるより、古典をたっぷり読ませる教 育を積む。それが日本語の生命を保つ現実的な方策。もちろん小説家は密度の高い文体を全力で築く。さもなければ日本語はやがて亡(ほろ)びゆく。私たちは 分かれ道に立っています」
なんか、激しく同意するところと、なんじゃそらというところが混じっているコメントだな。まず、小説家はこの際どうでもいい。生活や仕事に役立つか、という視点からのみ考えるなら、「中途半端な国民総バイリンガル化」とか「作文を書かせる」とかの方が役に立つ。まあ、読書感想文みたいな作文ならいらないけど、自分の意見をきっちり書くための訓練としての作文はむしろ必要だろう。このあたりは、言うまでもない。

しかし、日本語が「国語」として文化を保持するには、あるいは、外国人が学ぶ価値を持った言語だと思えるようであるためには、逆に翻訳文化の育成、古典教育は大切だ。ごくわずかな人に対して、でいいんだけど。


ああ、なんだ。ごく当たり前のことを言ってるだけじゃないか。教養教育を絶やすな教養に触れる機会を増やせ。大半の人には無駄でも、ごくわずかの人が教養人になるためのはしごとなるから。外国語教育を怠るな。外国語を学ばない者は自国語をも知らない、と誰か言ってたな。古典を読め。古典は長期間にわたってふるいにかけられた、人類の叡智の結晶である。エリート教育を大切にしろ。外国語を深く理解することは誰にでもできることではない。

ふと思ったのだけど、ネットだけで世界が完結している人たちがかわいそうなのは、永井均とか佐伯啓思とか、日本語で普遍的なものを書けるが、ネットにはほとんど現れてこない人の作品を読む機会がないこと。私にとってはだけど、ネット上のどんなテキストを読むよりも、彼らの作品は知的興奮をもたらしてくれる。

ものすごく忙しいのに、ついつい長文を書いてしまった。

Tuesday, November 11, 2008

派遣・請負の酷使は決してプラスにならない

NBonlineより
ある電子部品メーカーが衝撃的なデータを持っていた。2000〜06年の7年間に、この会社で正社員がやっていた仕事は生産性が150〜160%向上し た。これに対し、請負・派遣社員を使った部門の生産性は30〜40%低下した。この会社は2年前に請負をすべて派遣に切り替え、「派遣で3年続いた人は全 員、正社員になってもらう」(同社の社長)という。
「遅いわ、馬鹿者」と言いたくなる。人は失うものが小さければ小さいほど、社会への貢献度は下がる。当たり前だ。社会から何も受け取っていないどころか、搾取されていると思えば、真面目に仕事をするのがバカらしくなる。当たり前だ。なぜ、それがわからないのか。経営者はアホばかりか。目を噛んで死んでしまえ。

生産性を上げるためには社員を洗脳するのもいい。出版業界みたいに「この業界は長時間労働、薄給なのが普通だから」とか。しかし、洗脳し続けるのは難しい。出版業界だって、人材の流出は著しい。

要は、努力がちゃんと報われている、と感じられること。「努力なんて報われるはずないよ」というのは正論だけど、その正論では救える人よりも救えない人の方がずっと多い。そして、多数派の人が幸福を感じられる世界の方が、少数派にとっても都合がいい。

いい加減、目を覚ませよな。

Sunday, November 09, 2008

Windows Vistaの「SendTo」フォルダの場所

SendToフォルダに、ドライブやフォルダのショートカットをコピーしておくと、ファイルやフォルダを右クリック→「送る」→ショートカットを選択すれば、コピーできる。深い階層やネットワークドライブにコピーしたいときに便利だが、VistaではXPのように「Documents and Settings」フォルダをたどろうと思っても、アクセスが拒否されたりでうまくいかない。

で、どこにあるかというと、「C:¥ユーザー¥(ユーザ名)¥AppData¥Roaming¥Microsoft¥Windows¥SendTo」とたどるとよい。ここにショートカットをぽいぽい放り込んでおこう。

ニコニコ動画を黒字化するには

収入をアップさせる方法をみんな書いているので、支出を減らす方法を考えてみよう。

P2Pを使え。以上。

金子勇氏(47氏)でも呼んできて(その必要はないか)、ポートを開けなくても使えるP2Pクライアントを開発する。無料会員はP2Pクライアントをインストールするか、動画表示前に広告を見ないといけない。有料会員はP2Pクライアントを使わず、サーバから動画をダウンロードできる。これで、毎月数千万円単位で払っている回線使用料が1/10になり、翌月から黒字化する。ファイルはSilverlightでDRMをかけておいて、著作権者から削除依頼があったファイルは再生できないようにする。ま、DRMナシでも、再生できないようにする方法なんていくらでもあると思うけどね。

QuickLookをもっと便利に使う

ファイルを選択してSpaceキーを押すと、プレビューできるQuickLookだけど、実はQuickLookでプレビュー表示中もカーソルキーが有効だ。どういうことかというと、プレビューを表示したまま、Finderで次のファイルを選択すると、プレビュー画面も次に移る。今まで知らなかったのがバカみたい。

Saturday, November 08, 2008

Dropboxが便利すぎる

少し前から名前は知っていたのだが、オンラインストレージサービス「Dropbox」をMacにインストールしてみた。

…便利すぎる。これはいかん。本当の意味でのプッシュサービスみたい。MobileMeのストレージサービスなんて目じゃないな。Flickrでもそうだったように、何の躊躇もなく有料コース(9米ドル/月または99米ドル/年)にアップデートしてしまいそうだ。

リコー「GX200」に感激した

リコーの「GX200」がすごい。買ってからもう数ヶ月になるが、Panasonicの「DMC-FZ30」を普段のブツ撮りに使っているので、「GX200」は高機能なお散歩カメラとして使っていた。今日、FZ30を持ってくるのを忘れたので、仕方なくGX200で撮ってみた。

結果は、大正解。こいつはマクロの開放側が1cmまで寄れるだけでなく、ある程度の絞っても7,8cmも離れれば、ピントがちゃんと合う。で、撮った写真がこれ。
トリミングしただけの無修正で、これだ。一発でこんなにキレイに撮れるなんて驚き。寄って撮るなら、一眼レフ(゚⊿゚)イラネ ちょっと歪んでいるけど、これはPhotoshopでちまちまやれば、何とでもなる。これからは、GX200でブツ撮りしようっと。

…もしかして、お料理写真もGX200の方がよかったりするのかな?

雑誌の読者層は周辺部へ

Webと雑誌の読者層の関係を考えていて、ふと思いついたのだが、これから雑誌の読者層は「周辺部」へと進んでいくだろう。言い換えると、ニッチ市場、メインストリームから外れたところ、少数派が雑誌の主な読者となっていくのではないか。特に、雑誌が売れなくなってきたジャンルでは、その傾向が顕著だと思う。たとえば、パソコン雑誌なら、自作パソコンユーザとか、初心者・高齢者とか、ITプロフェッショナルとか。

…単に、扱うジャンルが細分化されているだけかな。ううむ。

Thursday, November 06, 2008

Mac OS Xの「幽霊」エイリアスを削除する

Mac OS XにUSBメモリをつないで、そこにあるテキストファイルをJedit Xで直接編集しているとき、テンポラリファイルがUSBメモリ上に作られる。編集中のテキストファイルを正しく保存すれば、削除されるはずだ。しかし、たまに「幽霊」ファイルが消えないことがある。削除しようとしてもアクセスを拒否されるし、どうしたものかと時々思っていた。

試しに、ファイルを選択してCommand+Iキーを押してみる(または、右クリック→「情報を見る」)と、さくっと消えてくれた。ということで、「幽霊」エイリアスの正体がテンポラリファイルのときは、「情報を見る」で消してしまおう。

Yahoo!ブリーフケース、有料化へ

ファイル共有サービスの「Yahoo!ブリーフケース」が事実上、有料化されるようだ。届いたメールによると、以下の通り。
Yahoo!ブリーフケースは2008年12月1日より、Yahoo!プレミアムおよびYahoo! BB会員専用のサービスへと変更させていただきます。
ネットのコアユーザにとっては特に重要なサービスではないが、エントリユーザにとっては、なくなると次のサービスを見つけるのが難しいサービスではある。何割かは、プレミアム会員に登録すると思われるので、ヤフーの収益力強化にはプラスになるだろう(というか、このままではビジネス的にプラスにならない)。ただ、最近のヤフーはこれまで無料で提供してきたサービスをどんどん有料化したり、従来の有料サービスの価格を上げたりしているので、これがどういう形でユーザの利用状況に反映されるのか、まだよくわからない。

仕事のできる人・できない人

下請けをやっていると、得意先に仕事のできない担当者がいて、大変困ることがある。初夏の頃にやっていた仕事で、とてつもなく変な担当者にあたったために、周りの人たちが大変なことになりそうなことがあった。外注先がダメな仕事をあげてきたなら、発注者の責任だとして反省すればいいが、得意先がダメなのはどうにもならない。金額が安いなら、次から断れるが、そうでもないときは余計に困る。

さて、この業界で仕事ぶりが尊敬に値する人を二人知っている。一人は雑誌編集者のH女史。そして、もう一人は元・書籍編集者のT氏。いずれも粘り強さという点では、他の人たちを寄せ付けない(当然ながら、二人とも重度のワーカホリックだった)。私が偉そうに雑誌や書籍のことを話すことができるのは、二人と仕事をした年月のおかげだ。

それで、今日思い出したのはT氏の仕事ぶりだ。T氏は短期間で一定レベルの書籍を大量に刊行するチームを率いていた人で、「どうやったら、この量の仕事をうまくできるか」を常に考えざるを得ない立場に置かれていた人だ。彼の指示は具体的で、要求レベルは高く、容赦がなかった。

私が「お守り」をしている(と敢えて言おう)取引先の人たちの欠点は、まず指示が曖昧なこと。そして、「どうやったら、うまくいくのか」を考えず、思いついた順に仕事を言いつけてくること。同じ仕事をするのでも、順序よく的確なタイミングで指示を出すのと、行き当たりばったりで思いついた順に言うのとでは、まったく結果が異なってくる。後者は端的に仕事ができない人のやることである。

仕事がうまくいかなかったとき、発注者は受注者を「ダメな下請けだ」と切って捨てることができる。だからこそ、「うまくいかせるために、何か方法がなかったのか」を常に考える必要がある。でなければ、発注者の仕事のスキルは永遠に上がらない。うまくいかなかったときに受注者にすべての責任を負わせるのは、頭の悪い人がやることである。受注者がサボった結果、うまくいかなかったとしたら、その下請けを使った自分をまず責めるべきである。そして、その次にトラブルを予防する策が十分だったかを点検すべきだ。さらに、トラブルが表面化した後、的確なリカバリーの手段を講じたかどうかもよく考えてみる必要がある。ここまでくれば、だいたいのケースで、発注者側が「自分にはまったく責任がない」とは言えないはずである。

自分の顔を鏡に映すのが一番難しく、そして気分の悪いものだ。しかし、それを忘れない者が上達する。

そういえば、H女史もT氏も私より5歳以上年下だな。仕事のできる年下の人に出会う機会はもうない。

はてブのリニューアルに思ったこと

梅田望夫氏が書いていたが、はてなの社員たちは「ダークサイド」に落ちることを嫌う意識を共有しているらしいが、肝心の自分たちが(部分的にせよ)「ダークサイド」に落ちてしまっていたとき、それを自覚できるかというと難しいはず。米国の「自分たちこそ正しく、世界を導くのだ」という意識につながるものを、はてなの中枢部は持っているような気がする。

Wednesday, November 05, 2008

もう一度、ワンソース・マルチユース

数年前、XML屋さんたちがセミナーで盛んに「ワンソース・マルチユース」という言葉を口にしていた。確か、Adobe InDesign関連のセミナーだったと思う。その後、ワンソース・マルチユースの考え方はどのくらい一般的になったのだろうか。少なくとも、私の身の回りでは、その言葉を口に出す人さえいない。おそらく、ソースとなるコンテンツを使い回せるように整形する手間の方が、ソースを新たに作り出すよりも大きいので、意味がない…という結論に至っているのだと思う。例えば、ある書籍の著作権者がこれをWebにも使おうと思ったときに、組版データをWebでも公開できるようにするよりも、ゲラとか書籍そのものとかをもとに、ライターが書き起こした方が安くていい。きっとそんなところだろう。

昨今の出版不況により、著作権料や制作費が大きく削減されている。これを打破するために、個々の人たちが「売れる本」を作るために努力するのは当然としても、それだけでは出版業界全体が力を盛り返すことはない。他の「売り方」を考えるしかない、と思う。書店という流通販路を使って別のものを売るのもいい(すでに、毎週刊行される付録付きの雑誌とか、利用している人たちはいるが)が、これは出版社の考えることだろう。私のように、下請けで作っているポジションにいる人間としては、自分たちの売りとなるコンテンツにもっと高い値段を付けてもらえるように、何か方策を練らねばならない。

一つは、より価値の高いものを作ること。そして、同じものをより高く買ってくれるところに売ること。最後に、別のところで売ること。コンテンツは売ってもなくならない(著作権を完全に売り渡したら別だが)ので、最後の手が使える。つまり、書籍に使ったものをWebでも使うということ。出版社と交渉して、著作権料や制作費の減額に応じる代わりに、出版契約を変更し、別の形での販売を認めてもらう、という手があるのではないか。

「じゃあ、電子書籍で」と、PDFでの販売をすぐに思いつくだろうが、これはダメ。雑誌をPDFで販売する試みは、今のところ、すべて失敗している。米国でのKindleのように、多くの人が使う端末が登場しなければ、うまくいく理由がない。このあたり、未だに誤解している業界人がたくさんいるので、呆れる。

では、どうするか。切り売りである。コーナーごと、コラムごと、特集のテキストと画像のみで販売する。ただし、買ってもらう相手は読者ではない。別のメディアだ。Webなどのネットだけではない。極端な話、フリーペーパーでもいい。一番有望なのは、ケータイサイト。今の日本でもっとも人を集めやすいメディアだ。必要なら、紙のコンテンツの方をケータイ用に最適化しておいてもいいくらいだ。

そのときに問題になるのが、冒頭のワンソース・マルチユース。コンテンツを簡単にいろんな使い形で使い回すのに、ライターとか編集者とか、人間を使っていたのではコストがかかりすぎる。現在、RSSによるニュース配信がいろいろな形で出てきたのと同じように、紙媒体からWebなどデジタル媒体への再利用可能な形での制作を、今こそ進めないといけないと思う。リライトに人間の力を使うのはバカバカしい。ライターがテキストを起こして、編集者がチェックしたら、雑誌とWebとケータイに同時に出てくるような仕組みができないものか。人間は企画を作るところに注力した方が、みんなずっと幸せになれる。

…とまあ、こんなことを数年前から考えているのだが、どうにもなかなか。

Gmailの反応がよくない

ここ数週間くらいか、Gmailのサーバからエラーが返ってくることが多くなった。また、エラーが返ってこない場合も、メールの送信にひどく待たされることが増えてきている。

数分待てば元通りに動作することが多いので、クリティカルな問題にはなっていないが、快適性が大きく損なわれていることに違いはない。

この状態が続くようなら、仕事のメールだけでもApple Mailでの送受信に切り替えるしかないかもしれない。

Tuesday, November 04, 2008

モバゲータウンに登録してみた

モバイル広告のことを調べる必要が出てきたので、モバゲータウンに登録してみた。

びっくりしたのがデザインの緻密さ。mixiモバイルなどとは比べものにならないくらい、よく作り込まれている。また、ユーザがサイトの中をいろいろと歩きたくなるような仕掛けがたくさんあって、ページビューや滞在時間が伸びる理由が実感できる。

広告の種類も、普通のピクチャー広告とテキストリンクだけでなく、ゲーム終了後画面とか、PC向けサイトでは考えられないくらいのバリエーションがあり得る。「こりゃまだまだ伸びるな」というのが実感。モバイル広告関係の会社がどんどん増えて、しかも大きくなっているのもわかる。

ただ、使ってみてわかるのは、中年以上のユーザを獲得するのは至難の業だろうということ。M1・F1未満の若年層ユーザは軽々と使いこなせるにしても、おじさん・おばさんには厳しい。購買力のある層への訴求効果はかなり限定的だろう。

PC向けサイトで有名なサイトなどがうまく参入すれば、媒体力を発揮して広告を引っ張ってこられるはず…というのは、聞いた話。そうだよね。

Monday, November 03, 2008

出産費用未払いが多いなら公費負担にすればいいじゃない

出産費用を未払いのまま、退院してしまう人が多いらしい。個人医院では死活問題になるので、中には、支払えそうにない人に公立病院を勧める医者もいるとか。

少子化対策でああだこうだと言ってるくらいなんだから、いっそのこと、現在は「病気ではないから」という理由で保険が使えない出産に関しても、公費負担することにしたら…と、ぼんやり思っていたら、なんと同じことを考えている人が政府にもいたようだ。

DQNの再生産になるのではと、2ちゃんあたりでは批判されるだろうが、まあ低所得者=DQNではないし、子供に金を使うのは悪いことではないと思うので、この施策には賛成。

泣ける2ちゃんコピペ

泣けるコピペが集めてあったので、魚拓にリンク。両親ネタは強いなあ。

Sunday, November 02, 2008

WordPress.comを使うことにした

このブログを移転する話ではないです(笑)。もうブログの移転は飽きました。livedoorブログ→ロリポブログ→さくらのブログ→Tumblrと、ころころ変えた結果、書いたテキストを全部1つのブログに集約するのはほとんど無理なレベルになってしまいました。ここBloggerは、記事を書いて保存されるまでのレスポンスがTypePad系とは比べものにならないくらい高速で、しかもPageRankが上がりやすく、さらにコメントをOpenIDなどでコントロールできるので、「記事を書く」というブログの一番の目的には即しているように思います。なので、ここでアガリ。

個人ブログの話はそれで終わりなんですが、制作物のサポートページを作るためにWordPress.comを使おうと考えています。いろいろな経緯から、数年前にとある取引先向けに制作物は直接サポートするようにとのお達しがあり、メール対応だけでなく、ちょこちょこサポートページも公開しています。先日、もう一つ直接サポート対応すべきものが増えたので、手打ちのHTMLじゃあ何だなあと思って、移転先を探していました。

で、落ち着きそうなのがWordPress.comなんですが、ここにしようと思った理由は「ドメイン・マッピングが可能」「比較的軽い」「WordPressだ」というところかな。プラグインが使えないので、インストール型のWordPressよりも不便ですが、WordPress本体がバージョンアップするたびに自分でメンテナンスするのは、あまりにも面倒なので…。

ちなみに、使いたかったプラグイン(スクリプト)は「FancyZoom」「Highslide JS」「Litebox(Lightbox JS)」。パソコンの画面は拡大して見せたいけれど、いちいち画面遷移が生じると鬱陶しいので、こういうスクリプトはありがたいです。でも、使えません…。

QuickLookの表示画像を拡大・縮小する

Leopardを使い始めてずいぶんになるのに、知らなかった機能があったのでメモ。ソースは「Macの手書き説明書」さん。

QuickLookで表示される画像を拡大するには、表示された画像をOptionキーを押しながらクリック。縮小したいときは、Optionキー+Shiftキーを押しながらクリック。なお、PDFはCommandキー+「+」キーで拡大。

"Vieux Remparts Cotes Du Ventoux 2006"

ブドウの種類が書いてないけれど、メルローやカベルネだけじゃないな、これ。ググってみたら、グルナッシュ60%、シラー20%、ムールヴェードル20%らしい。グルナッシュって、なかなか癖があるなあ。シラーほどじゃないけど。

"Chateau Capville 2005"

飲みやすい赤。メルロー75%、カベルネ・ソーヴィニョン20%、コット5%。ブドウの配合は飲みやすさ重視で、いい感じ。

Saturday, November 01, 2008

iPhotoで写真共有サイトを使いこなす

最近、撮影した写真はほとんどFlickrにアップしている。Setをたくさん使いたいので、数年前から毎年25ドル払ってProアカウントにしている。でも、ネット上でパーソナリティを使い分けているため、Flickrに何でもアップするのは難しい。そこで、一部の写真のアップにはフォト蔵を使っているわけだけど、フォト蔵にはMacからアップロードするソフトが用意されていない。面倒だなあと思っていたのだけど、どうやらiPhotoに組み込んで使うプラグインがあるらしい。インストールして使ってみたところ、最初プラグインの使い方がわからず、おいおいと思ったけど、わかってみれば簡単だった。

ここを見たところ、他にもiPhoto用プラグインがあるようだ。フォト蔵やmixiは「iPhotoUploader」、Flickrは「FFXporter」で今のところはいいかな。