Tuesday, May 12, 2009
米国の電子書籍事情が何ともうらやましい
Amazonの「Kindle DX」が予約受付中だ。デバイスとしては、富士通フロンテックの「FLEPia」の方がカラー表示可能なので若干見栄えがするし、ブラウザ内蔵で機能的には上だけど、何に使えるかを考えたら、Kindleとは比較にならない。Kindleではたくさんの書籍を読むことができる。しかも、iPhone上で使えるアプリまである。
「なぜ日本ではこうならないのか」を考えてみたら、いろいろな原因がありそう。一つは、情報を書籍にパッケージングする産業(出版・印刷業界)が、書籍のビジネスモデルを捨てられないからではないかと思っている。日本でも数年前から(PC向け)電子書籍の市場は存在する。しかし、どれも成功しているとは言い難い。唯一、成功しているのがケータイ向け。ただし、これはジャンルがかなり偏っている。ケータイには絶対に載らないジャンルも多数存在する。
情報を書籍や雑誌の形にパッケージングする産業は衰退しつつある。ゼロにはならないにしても、Webで間に合うジャンルや形態はどんどん細っていくだろう。Webに載せれば、人は集まるかもしれないが、ビジネスモデルがまだ貧弱だから、収益性という点ではまだまだ厳しい。
となれば、出版業界は考え方を変えて、情報を集めてパッケージングするという本来の仕事に立ち戻り、書籍や雑誌といった形態のみを最終的なパッケージとするのではなく、さまざまな形態で読者に提供できるよう、やり方を考える必要があろう。書籍や雑誌など紙媒体以外のパッケージ候補としては、「FLEPia」のような電子情報端末や、iPhone、スマートフォンなどのパーソナルな端末、そしてデジタルサイネージなどが挙げられる。決して、書籍をそのままPDFにしてWebに並べたものを「電子書店」などと呼んではならない。その形態での販売は、iPhoneが数倍の大きさになったような機器がMac TabletとかMac Paperとかいう名前でヨドバシで買えるようになるまで、まず売れないだろうから。
そこで必要となる考え方は、もう何年も前からXML屋さんが言っている「ワンソース・マルチユース」。産経新聞が紙面全てを読めるiPhone向けアプリをリリースしているが、あの試みは大変新しく、評価すべきものではあるが、紙面をそのまま見せるべきかは一考の余地がある。書籍や雑誌向けにも、印刷用にデータを作ってしまえば、自動的にiPhoneやその他の電子情報端末向けに変換される仕組みが必要だろう(もうあると思うけど、変換テストなどをしている話を聞いたことがないので、ごく一部でしかやってないのだろう)。
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