Friday, March 15, 2019

安価で高品質な万年筆もいい。いいのだが…

20190315 kakuno

3000円クラスの万年筆と同等なペン先を使った、低価格の万年筆としては抜群のスムーズな書き味は、万年筆を使ったことがなく「何となく難しそう、書きにくそう」と思っていた層に、「万年筆って書きやすいんだ」と思ってもらうことに成功した。

1000円台のカジュアル万年筆 人気支える2つの理由|MONO TRENDY|NIKKEI STYLE
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO25828500Y8A110C1000000?channel=DF160520172513&nra&page=2

安価で高品質な万年筆の発売が相次いでいる。パイロットの「カクノ」、プラチナの「プレジール」は1000円前後なのに、書きやすいと評判らしい。一人の万年筆愛好者として、裾野が広がるのはとても嬉しいし、いいことだと思う。ワシも「カクノ」と「プレジール」は買ってみた。

その上で、1000円前後の安価な万年筆と数万円の高級万年筆との間には埋めがたい溝がある、とも言っておきたい。前者のニブは例外なく、スチールである。スチールがダメだとは言わないが、やはり紙をひっかくような、カリカリとした感触がすることが多い。大昔に、ガリ版印刷で鉄筆を握ったことが一度あったが、それを思い出す。14kなど金の入ったニブは、それとはかなり異なる。物によっては、細めのラッションペンのような感触がするものもあるが、多くの高級万年筆は何とも言えない、万年筆特有の筆の滑りがある。筆圧をかけなくても、すーっと線が描けるのが万年筆のいいところである。安価な万年筆にはそれが感じられない。「万年筆のような何か」という感じがする。

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