アフィリエイトサービスが増えた結果、アフィリエイト紹介料の高い商品ばかりネット上で目立つようになって、本当に素晴らしい商品や客観的なレビューが見つけにくくなっていると感じています。ユーザにとってはネット上の体験が悪化しています。
つまり、広告ばかりが増えた結果、知りたい情報、確実な情報にたどりつくのが難しくなった、ということ。このあたり、Googleなどの検索サイトも悪い影響を与えていると知っておくべきだろう。
昔、Yahoo!のディレクトリしかまともな「検索」が存在しなかった頃、そこに掲載されるためには人の目によるチェックをくぐらねばならなかった。しかし、Googleのアルゴリズムがネット全体を席巻し、隅々までインデックス化され、様々な情報が見つけやすくなったとともに、機械的なルールがアクセスを決めるようになった。
最初は優秀だと思った。こんなものまで見つかるのか、と思うこともよくあった。しかし、複雑に組み上げられているとはいえ、人の目を経ないアルゴリズムに順位=収益を決められるようになって、商業主義が一気にGoogleを汚染した。何度もGoogleはアルゴリズムを洗練することによって、汚染された検索順位をきれいにしようとした。直近のアルゴリズム変更はそこそこ効果があったようだが、もしかすると遅すぎたかもしれない。
例えば、運営者個人が独自の視点から集めたニュースサイトは、もうずいぶん前に死滅した。今は、まとめサイトの時代である。パソコン関係も同じだ。Linuxの情報をしっかり書いたサイトより、Excelのtipsをいい加減に書いたサイトのほうがGoogleは好きだ。後者にも存在意義はあるとは思うが。
Amazonはこれに対して、消費者のレビューを重視した。初期は非常に参考になった。しかし、これも汚染されてしまった。業者が複数のアカウントを使って一斉に高評価を与えて、星の数を稼ぐ。一般消費者はそれに騙されて購入してしまう。ただ、最近はさすがにマシになってきたのが救いだ。いわゆるAmazonキャンペーンも一時期はひどく、本などはランキングを金で買える状態が長く続いていた。これも最近はさすがに減ってきたようだ。とはいえ、この手の問題がなくなることは考えにくい。イタチごっこが続くだろう。
どうしたら、ネットはもっと役に立つようになるのだろうか。一つの解決方法として思いついたのが、金で動かない専門家だ。厳密に無償である必要はないが、目の前の金で動くことが長期的に見て損になる、というタイプの仕事の仕方をしている人だ。昔は、こういう人を見つけてくるのが出版業界の存在意義の一つだったが、もはやその力はない。金で動かないのではなく、金を動かす専門家の方が出版業界には必要とされている。きっとWebメディアの方が、金で動かない専門家を探す力に長けているはず。最近ではもうずいぶん減ってしまったが、パソコン関係にもそういった「最後の良心」的なサイトはある。ワシ個人はなかなか関われないが、ぜひとも長く存続してほしい。